読んだ本その2
春休みが終わってしまう…。
ジュンパラヒリ「低地」
ラヒリは「停電の夜に」しか読んだことなかったが長編も素晴らしかった。堪能した。「停電の夜に」は結婚生活なんぞ知らない高校生(当時)の私でも哀しくなってしまったんだった…
激しい政治運動に生きた弟と、家族という共同体に人生を封じ込めた兄。彼らの暮らす「低地」から物語は始まり、弟が殺されたのも(帯に書いてあるくらいだからネタバレではないような)「低地」……。象徴的な「低地」と遠く離れたアメリカが舞台。
誰かを愛そうとしてもうまく愛せない歯がゆさが痛々しいほど伝わってくる。とくに兄の、駆り立てられたような死者への弔いや娘への思いの正当化、などがむしゃらにもがく姿が印象に残った。
彼ら兄弟から三世代に渡るドラマは、抑制がきいていてお上品だ…カルカッタの湿気すら上品。インド人でありアメリカ人であるラヒリ自身が投影されてるのは確かだが、完成度が高すぎて感動した!
原田マハ「本日は、お日柄もよく」
フツーのOLがスピーチライターの仕事を…!!!奮闘サクセスストーリーって感じですごくあたたかい小説。カヴァンの冷徹な作品に比べると火傷しそうなほど…。これドラマ化するんじゃないのかな。
かっこいいスピーチは印象に残るし、おんなじような内容だったら丁寧さや実直さがあるほうがいいに決まってる。
恋より何よりスピーチ書くことに命賭ける女の子、好感持てるな…。
登場するスピーチライターの書く、簡潔かつ洒落たスピーチを読むと文章力が欲しいな、とつくづく感じる。4月からのレポート課題は頑張ろうっと
デボラモガー「チューリップ熱」
- 作者: デボラモガー,Deborah Moggach,立石光子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2001/06
- メディア: 単行本
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舞台は17世紀のオランダ。当時はチューリップ投機が流行していたそうで、チューリップ投機熱と男女の熱い恋愛事情が良い具合に絡んだお話。美男美女(しかも男は画家というあやしさ)の駆け落ち劇きたーー!と途中までちょっぴり興奮。途中、人間は欲望まみれで滑稽だ……みたいな気分にもなり楽しかった。
なによりオランダの上流社会の不倫劇のドラマチックさたるや…背徳感を感じずにいれない。妊婦取っ替えるなんて最初から狂ってるよ…
一人称となる登場人物が変わってくものの、時間も交錯しないので凄く読みやすかった。普段海外文学読まない人にも勧められそう。
最近Kindleも使い始めたけどKindleだと友達と貸借り出来ないからそれは微妙。 翻訳小説は有名どころしか電子化されていないんだけど。
Kindleは本のコレクターじゃなければほんとうに便利な媒体だと思うので紙と電子、器用に使い分けていきたいなぁ。活字中毒なのでつねに本orキンドル+iPhoneにKindle同期してないと不安…。
あとkindleは寝っ転がって読んでても画面調節すれば文字が明るいのが良いです。重宝してます。